コラム 「不在率50.9%」の改善を、素直に喜べない理由 2026.03.17 「不在率50.9%」の改善を、素直に喜べない理由 東北の後継者不在率、6年連続で改善。でも本当に喜んでいいのか。 「後継者不在率が50.9%に改善した」 帝国データバンクの調査で、そんな数字が出た。 後継者不在率、秋田が全国唯一の70%台 東北は50.9%で改善 https://www.asahi.com/articles/ASV2N444HV2NUNHB00DM.html 6年連続の改善。 確かに、いい方向には向かっている。 だが現場を知る者として、少し立ち止まって考えてほしい。 数字の裏に、何があるのか。 改善の背景には 官民の相談窓口の普及 支援メニューの拡大 地銀による事業承継特化の取り組み そうした外部環境の整備がある。 つまり「社会が動いた」から数字が改善した。 経営者が自ら動いたかどうかは、また別の話である。 第一に見るべきこと。 規模が小さいほど、問題は深刻だ。 大企業の後継者不在率は29.7%。 小規模企業は55.8%。 この差は何を意味するか。 大企業には人材がいる。 仕組みがある。 時間をかけて準備できる体力がある。 しかし小規模企業には それがない場合がほとんどだ。 だから待っていても 誰かが解決してくれることはない。 第二に見るべきこと。 秋田の73.7%という数字を、他人事にしてはいけない。 全国で最も高い不在率。 2位の島根に9.5ポイントもの差をつけている。 なぜこうなるのか。 TDBの担当者はこう指摘している。 「同族経営の企業が多く、 親族以外の第三者に経営権を譲ることへの 抵抗感が根強い」 これは秋田だけの話ではない。 地方の中小企業に共通する、深層心理である。 第三に見るべきこと。 「内部昇格」が「同族承継」を上回り始めた。 2025年に代表者が交代した企業のうち 内部昇格が32.4% 同族承継が35.6% 数字としてはまだ同族が上だ。 しかしトレンドは変わっている。 「社長は親族がなるもの」 その常識が、静かに崩れ始めている。 これは経営の話である。 血縁ではなく、能力と準備で承継される時代が来ている。 改善は喜ばしい。 だが数字が改善しても 廃業した会社は戻らない。 消えた雇用は戻らない。 地域に根ざした技術や文化も、戻らない。 ひとつだけ確かなことがある。 「いつかやろう」では間に合わない。 黒字の今、人材がいる今、 それが準備を始める唯一のタイミングである。 後継者不在率50.9%。 まだ半分以上の会社が、未来を決めていない。 その一社一社に、 歴史があり、社員がいて、地域がある。 数字が改善しても、経営者が動かなければ何も変わらない。 writing:ストロングポイント株式会社 代表取締役 加賀隼人 Tweet Share Hatena Pocket RSS feedly Pin it 投稿者: adminコラムコメント: 0 後継者がいない会社の本当の理由