コラム 「仕事って何か、わかってるか?」と問われて答えられなかった日のこと 2025.09.02 目次 1.問いかけから始まる仕事の本質 2.「課題」とは何か――その定義を知らずに働いていないか? 3.すべての仕事は、“他人”から始まる 4.自分にしか興味がない人が、なぜ仕事ができなくなるのか 5.忘れられない問いと、私の原点 1.問いかけから始まる仕事の本質 「仕事って、何だと思う?」 新人時代、そう問いかけられたことがある。問いかけたのは、社内で「オジサン」と呼ばれていた、背中からシャツが出ているベテランの上司だった。雰囲気はゆるいが、問いかけは鋭い。 「顧客にサービスを提供すること」「お金をもらうための作業」――同僚たちが口にする言葉に、彼は静かに首を横に振った。 「仕事とは、課題を解決する行為だ」 その言葉が、腹に落ちた。だが、彼は続けた。 「じゃあ、課題って何だ?」 2. 「課題」とは何か――その定義を知らずに働いていないか? 「やるべきこと」「問題点」「困りごと」――そんな表現では、彼は満足しなかった。 最終的に彼が言ったのは、 「課題とは“課された問題”のこと」 つまり、「誰かがそれを解決すべきと判断し、リソースを割くと決めたもの」。 ただの「問題」では仕事にならない。 それを「やるべきこと」に変える力が、仕事の起点なのだ。 3. すべての仕事は、“他人”から始まる この定義に続けて、オジサンはこう語った。 「仕事の基本とは、“他人に興味を持つこと”だ」 最初はピンとこなかった。だが、今ならはっきりわかる。 自分のやりたいこと、好きなこと、得意なこと――それらだけで完結する仕事はほとんどない。 社会も、会社も、他者が存在するから成り立つ。 相手の期待、困りごと、判断基準。それらを“他人事”にしているうちは、仕事にならない。 4. 自分にしか興味がない人が、なぜ仕事ができなくなるのか 現場で迷い、仕事に手応えを持てず、すぐ「評価されない」と嘆く人の多くは、自分視点で止まっている。 「自分は頑張っている」 「なぜ認めてもらえないのか」 「もっと自由にやらせてくれれば成果が出るのに」 そうやって、世界の中心が「自分」になる。 だが、他者への興味を持たない人は、仕事の“文脈”を読み取れない。 だから、動きがズレていく。 課題は、他人の視点の中にしか存在しない。 つまり、「他人の現実」に興味を持てるかどうかが、仕事の精度を決める。 5. 忘れられない問いと、私の原点 オジサンは、若手に煙たがられないように配慮しつつも、言うべきことははっきり言った。 「君の仕事観は、自分中心すぎる」 この言葉は、当時の私の胸に突き刺さった。 それから私は、自分の思考回路を問い直すようになった。 誰のための仕事か? 誰が困っていて、誰が評価を下し、誰が成果を受け取るのか? “他人を出発点に考える”―― それが、私の仕事観の原点であり、今も変わらぬ信念だ。 Tweet Share Hatena Pocket RSS feedly Pin it 投稿者: adminコラムコメント: 0 曖昧な言葉で指示を出す上司が、部下の生産性を奪ってい...