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「考えて動け」が伝わらないのは、問いが浅いからだ

「考えて動け」が伝わらないのは、問いが浅いからだ

 

目次

  1. 「もっと考えろ」が響かない理由
  2. 深く考えるとは、“疑う力”を持つこと
  3. 思い込みを崩すには、構造化された場が必要だ
  4. 経営者が仕掛ける「前提を疑う会議」
  5. 前提を壊せる組織だけが、生き延びる
  1. 「もっと考えろ」が響かない理由

「もっと売上を上げる工夫をしろ」
「ちゃんと考えて動け」

これは多くの社長が日常的に口にする言葉だ。
だが、部下に届いていないこともまた多い。
なぜか?

それは、“何をどう考えればいいか”が言語化されていないからだ。

「考えろ」と言われても、本人なりには考えている。
だが、現実は動かない。
つまり、考え方そのものがズレている。

  1. 深く考えるとは、“疑う力”を持つこと

「深く考える」とは何か?
哲学者も経営者も、その問いに悩んできた。

共通するのはひとつ。
「当たり前を疑う」ことだ。

スターバックスは“喫茶店=喫煙可”という常識を疑い、
禁煙・長居歓迎という真逆の価値を打ち出した。
アインシュタインはニュートン力学を疑い、
相対性理論を生み出した。

「当然とされていることは、本当に正しいのか?」
この問いこそが、深く考える第一歩になる。

  1. 思い込みを崩すには、構造化された場が必要だ

とはいえ、「疑え」と言われても、現場では難しい。
疑う行為は、反論や否定と受け取られやすく、
人間関係を壊すリスクがある。

だから私は、会議の中に「疑ってよい時間」を明示的に仕込むよう提案している。

たとえば──

  • 「今からは“前提を疑うタイム”です」と区切る
  • 「この時間は否定せずに話す」というルールを宣言する
  • 「会議外での愚痴はNG」と会議前に宣言する

これにより、“問い直す”ことが目的となり、攻撃や否定とは切り離される。

  1. 経営者が仕掛ける「前提を疑う会議」

前提を疑う場は、単なる意見交換ではない。
それは、「深く考える力」のトレーニングの場である。

たとえば、こう問う。
「このKPIは、本当に売上につながっているのか?」
「顧客満足は、今の調査項目で測れているのか?」
「過去の成功パターンは、まだ有効なのか?」

これらは、“正しいことを否定する”のではない。
“正しさの前提”を更新するための問いだ。

  1. 前提を壊せる組織だけが、生き延びる

変化が激しい時代において、
過去の“正しさ”は急速に腐る。

「これまではこうだった」
「みんなそうしている」
「昔はそれで売れていた」

これらは、企業を止める“思考停止ワード”だ。
それを破るのが、「考える力」である。
そして、「考える力」とは前提を壊す力に他ならない。

だから私は、ルール化された会議の中で“考える”を仕掛ける。
それが組織に思考の筋力をつける、最小の実践単位だと信じている。

終わりに

「もっと考えろ」と言う前に、
“何を疑えばいいのか”を明確に伝えること。
そして、安心して疑える場を整えること。

それが、現場に“考える力”を宿す唯一の方法だ。

思考はセンスではない。
技術であり、仕組みである。

あなたの会社に、その構造はあるだろうか?

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