なぜ会社はダメな管理職を降格しないのか?
来期に向けた人事や組織の話が出始めると、
多くの会社で同じ空気が流れる。
「成果が出ていないのに、なぜあの人は上に居続けるのか。」
誰もが気づいている。
だが、誰も口にしない。
合理的には、降格すべきだ。
それでも現実にはできない。
理由はシンプルだ。
管理職が「役割」ではなく「身分」になってしまっているからである。
一度ついた肩書は既得権となり、
触れた瞬間、組織の空気が凍る。
結果として、組織は停滞し、優秀な人ほど疲れて去っていく。
*
ある経営者が、こう漏らした。
「人としては悪くないんです。ただ、組織が前に進まない。」
これは、多くの経営者が抱える本音だろう。
そこで私が提案したのは、
「人を下げる制度」ではなく、「人が動く制度」だった。
ポイントは、
管理職という肩書を壊すことではない。
“固定させない”ことである。
*
導入したのは、任期制リーダーという考え方だった。
役職を廃し、
プロジェクト単位で、半年〜1年のリーダーを置く。
任期が終われば、いったんリセットする。
すると不思議なことが起きた。
降格の話をしなくても、
自然に役割が入れ替わり、
挑戦する人が増え、組織に流れが生まれた。
「降格できない」という矛盾そのものが、消えていった。
*
多くの会社で問題なのは、能力不足ではない。
役割のミスマッチである。
営業は得意だが、人を育てるのは苦手。
数字は見られるが、感情のケアができない。
それでも「課長だから」という理由で、
すべてを背負わせ続けてしまう。
だから、役割を分ける。
育成が得意な人は育成を。
改善が得意な人は改善を。
現場推進が得意な人は現場を。
「苦手を我慢させる組織」から、
「得意が生きる組織」へ。
*
重要なのは、
役職を動かすことではなく、役割を回すことだ。
会議の進行。
新人教育。
小さなプロジェクト。
これらも立派なリーダー経験である。
最初は小さくていい。
半年任期のリーダーを一つつくるだけで、
組織の空気は変わり始める。
*
最後に。
降格の是非で悩む前に、
挑戦の場を広げているだろうか。
動かしたかったのは、
部下ではなく、自分の考え方だった。
そう気づいたとき、
少し苦笑いすることになる。
……笑いごとではないけれど。
writing:ストロングポイント株式会社 代表取締役 加賀隼人