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売上不振から脱却するための解決策は間違っている(前編)

問題を間違えることが最大のリスク!?

多くの企業の経営会議では売上について多くの時間を費やしています。
その会議の中で必ずと言っていいほど出てくるのが
「売上不振の原因は何か?」という議題です。

経営者は常に原因分析を求め、売上不振から脱却すべく喧々諤々と議論します。
経営会議に参加させていただいた際にこの話が出てくると、常々感じるのが
「本当にそうなのか?」もしくは「何か違うな」ということです。
経験と勘によって議論が展開されていることが多いので、
第三者として聞いている私からすると言い訳をしているようにも聞こえ、
腹落ちしないことが多々あります。

特に「やる気」の類の話しが出てくると「売上不振の原因」が
より一層見えづらくなり、混迷を深めます。

実はコンサルティングをやっていて一番難しいのは、
この「何が原因で売上が上がらないのか?」を見つけることです。

経営者の方々で愛好家も多いP・Fドラッカーは「プロフェッショナルの条件」で
こう言っています。

経営における最も重大な過ちは、間違った答えを出すことではなく、
間違った問いに答えることだ。

問題を間違えることが重大な過ちであると言っています。

多くの方々は解決策を求めていらっしゃいますが、解決策は難しくないことが多いです。

それよりも、正しく問題を見つけることの方が難しく、また時間のかかる作業なのです。

私が現場を経験してきた中で、売上不振の原因をまとめると、ほとんどの場合が
以下のいずれかに該当します。

多くの原因はここに集約されるので、これを使って考えてもらえると
自社の原因が見えてくるのではないでしょうか!?

① 事業/商品のライフサイクルの問題
② 事業/商品の捨てる、活かすの問題
③ セールスターゲットの問題
④ 他社との違いの問題
⑤ 引合/集客の問題
⑥ 営業/販売の問題
⑦ 顧客ロイヤリティーの問題
⑧ 従業員のやる気の問題

分かっちゃいるけど、やめられない!?

順に説明をしていきます。
まずは①の問題ですが、これは語るまでもなく、
事業/商品の寿命が終わりに近づいているということです。

ここでの難しいところは、あと何年この事業/商品がもつのか?ということです。

これが非常に分かりにくいところがあり、特に地方ではなだらかに
事業/商品の売れ行きが下がっていくので、まだ大丈夫だと誤解します。

事業/商品のライフサイクルが今どの段階にあるかの分析方法は様々ありますが、

私は時間をかけずに簡単に判断できる基準をお客様に伝えています。

それは「価格競争になっているか」です。

価格競争に陥っている場合は完全に成熟した市場と言え、事業/商品の寿命が
終わりに近づいています。

成熟した市場の中で「後何年間もつか?」を知っても知らなくてもやることは
同じなので、細かい分析はしません。

このような状態でよくお願いされるのが「営業力を強化してほしい」ということですが、「これは焼け石に水なのでやめた方が得策です」とお伝えしています。

①が問題の場合の解決策は事業開発・商品開発しかないです。

これを上手くやりきった会社が富士フィルムという会社です。

詳しくお知りになりたい方は古森重隆さんの著書「魂の経営」を是非お読み下さい。

「本業が喪失する危機」について現場感のある内容が書れています。

あれもこれも・・で中途半端に!

つぎに②の問題を見ていきます。

どの事業/商品を捨てまたは活かしていくかができていないということは、
経営資源の分散を意味します。

限られた経営資源をどこに振り向けるかは経営を左右する問題です。

よくあるケースは、「元々の強み」の商品やサービスに力を入れ続けていると
いうことです。

この場合、営業マンが奮闘し、何とか売上は確保しているということが多いです。

ただし、本当に注力すべき商品/サービスでしょうか?これは利益率をみると
判断ができます。

事業別、商品別、顧客別などで利益率を並べてみると、捨てるべきもの、
活かすべきものが炙り出てくるでしょう。

利益率の低い事業/商品が把握できたら、腹をくくって捨てるという決断が必要でしょう。

結局、現場の営業マンが売れる商品数やしっかりと説明できるサービスの数は
限られてますし、少し売れるのも非効率です。

「売上不振の原因」の8つの中では、①②共にレベルが一段上の問題です。

なぜかというと、その事業/商品に関連する働く人がいて、その人達の仕事が
なくなるリスクがあるからです。

多くの経営者は判断に迷い、決断をするのが遅くなるのです。

何事も末期の状態では手の施しようがないです。お会いしている経営者には、
早めの決断をオススメしています。

まずは自社の事業/商品のライフサイクルが終わり(成熟期)を迎えていないか、
「価格競争」に陥っていないかで確認してみてください。

そして、経営資源の分散が起こってないかを「利益率」によって
確認・判断してみてください。

前編は以上となります。残りの6つの問題については後編で解説致します。
次のコラムを楽しみにお待ちいただければ幸いです。

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