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「成長実感がないから転職」は危険な兆候である

目次

1.優秀な人材が陥る、成長実感信仰
2.成長実感とは、初心者だけに許された特権
3.成長を実感できなくなってからが、本当の勝負
4.「退屈な繰り返し」の先にしか、プロフェッショナルは存在しない
5.一流になる人、一流で終われない人


1. 優秀な人材が陥る、成長実感信仰

「最近、成長実感がなくて、つまらないんです」
20代後半、将来を嘱望された若手が、転職を考える理由としてこう口にする。
そしてその背後には、多くの場合「成果は出ている」「会社に不満はない」「待遇も悪くない」が並ぶ。

一見、理性的な判断に見える。だが、ここにこそ大きな落とし穴がある。
それは、「成長実感」を“仕事を続ける前提条件”としていることだ。


2. 成長実感とは、初心者だけに許された特権

成長実感とは、できなかったことができるようになったときに感じるもの。
裏を返せば、それは「レベルが低い状態」からの変化に対して発生するものだ。

たとえばスポーツで言えば、最初のドリブルやシュート練習。
できなかったことが少しずつ形になると、誰しもが「楽しい」と感じる。
しかし、あるレベルを超えると、変化の幅は縮まり、成果は緩やかになる。

このとき、人は「成長している実感」を失っていく。


3. 成長を実感できなくなってからが、本当の勝負

一流の領域では、昨日と今日の自分の違いは“誤差”でしかない。
数%の精度を上げるために、何百回も反復し、地味な修正を積み重ねる。
そこには、爆発的な成長も、華やかな達成感もない。

「おもしろくない」「変化がない」と感じたとき、
多くの人は「成長していない」と判断し、環境を変えようとする。

だが、それは違う。
実は、成長実感がなくなったそのときこそ、
“素人を抜けた”というサインなのだ。


4. 「退屈な繰り返し」の先にしか、プロフェッショナルは存在しない

プロの仕事は退屈だ。
成果を出す人ほど、ルーティンを、繰り返しを、地道な蓄積を軽視しない。

真に高いパフォーマンスは、基礎の反復の中からしか生まれない。
そしてそこには、わかりやすい“成長実感”などない。

むしろ、目標が高くなればなるほど、達成までに時間がかかり、
毎日の「成長している感覚」は消えていく。


5. 一流になる人、一流で終われない人

「成長実感がないから、つまらない」
そう思った瞬間に、成長は止まる。

一流は、そこからが本番だと知っている。
だから、黙って繰り返し、淡々と精度を上げていく。

「成長実感」が行動の動機であるうちは、まだ発展途上である。
成長実感などなくても、積み上げる。
そこにしか、一流の景色はない。

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