コラム 「成長実感がないから転職」は危険な兆候である 2025.08.18 目次 1.優秀な人材が陥る、成長実感信仰 2.成長実感とは、初心者だけに許された特権 3.成長を実感できなくなってからが、本当の勝負 4.「退屈な繰り返し」の先にしか、プロフェッショナルは存在しない 5.一流になる人、一流で終われない人 1. 優秀な人材が陥る、成長実感信仰 「最近、成長実感がなくて、つまらないんです」 20代後半、将来を嘱望された若手が、転職を考える理由としてこう口にする。 そしてその背後には、多くの場合「成果は出ている」「会社に不満はない」「待遇も悪くない」が並ぶ。 一見、理性的な判断に見える。だが、ここにこそ大きな落とし穴がある。 それは、「成長実感」を“仕事を続ける前提条件”としていることだ。 2. 成長実感とは、初心者だけに許された特権 成長実感とは、できなかったことができるようになったときに感じるもの。 裏を返せば、それは「レベルが低い状態」からの変化に対して発生するものだ。 たとえばスポーツで言えば、最初のドリブルやシュート練習。 できなかったことが少しずつ形になると、誰しもが「楽しい」と感じる。 しかし、あるレベルを超えると、変化の幅は縮まり、成果は緩やかになる。 このとき、人は「成長している実感」を失っていく。 3. 成長を実感できなくなってからが、本当の勝負 一流の領域では、昨日と今日の自分の違いは“誤差”でしかない。 数%の精度を上げるために、何百回も反復し、地味な修正を積み重ねる。 そこには、爆発的な成長も、華やかな達成感もない。 「おもしろくない」「変化がない」と感じたとき、 多くの人は「成長していない」と判断し、環境を変えようとする。 だが、それは違う。 実は、成長実感がなくなったそのときこそ、 “素人を抜けた”というサインなのだ。 4. 「退屈な繰り返し」の先にしか、プロフェッショナルは存在しない プロの仕事は退屈だ。 成果を出す人ほど、ルーティンを、繰り返しを、地道な蓄積を軽視しない。 真に高いパフォーマンスは、基礎の反復の中からしか生まれない。 そしてそこには、わかりやすい“成長実感”などない。 むしろ、目標が高くなればなるほど、達成までに時間がかかり、 毎日の「成長している感覚」は消えていく。 5. 一流になる人、一流で終われない人 「成長実感がないから、つまらない」 そう思った瞬間に、成長は止まる。 一流は、そこからが本番だと知っている。 だから、黙って繰り返し、淡々と精度を上げていく。 「成長実感」が行動の動機であるうちは、まだ発展途上である。 成長実感などなくても、積み上げる。 そこにしか、一流の景色はない。 Tweet Share Hatena Pocket RSS feedly Pin it 投稿者: adminコラムコメント: 0 話を“聞ける人”が最強である