部下を動かす達人の共通点

部下を動かすことはできません!
弊社が提供している管理職向けの研修の中で
「部下は動かすことができると思いますか?/できないと思いますか?」という問いを
考えて頂いております。
大半の方が「動かすことができると思う」という解答で、理由を聞くともっともらしい話が
出てきます。
そこで、その理由を踏まえ、「部下を動かすために必要なことは何か?」と問うと
以下のような解答があがってきます。
● 目的や指示を明確に出す
● 実行できるまで教える
● しっかりと実行管理をする etc・・・
また、経営者の方とお話をしていると、部下を動かすためにも
リーダーシップは非常に重要で身につけてほしいと仰る方が多いです。
たしかに部下を動かすためにリーダーシップという手段も必要なことはあるかと
思いますが、リーダーシップや上記で記載した動かし方で部下は本当に動くのでしょうか?
現場を見て回ると「社員が元気な挨拶をしない」「言われたことができてない」などの
声を多くお聞きします。
このような声をお聞きしていると、部下は動くこともありますが、動かないこともあるよう
に感じます。
このような状況下で企業は部下の動かし方を社内勉強会や研修を通じて教えている企業も
多いようですが、一般的な方法論では動かすことはできないと思います。
部下を動かす達人の共通点が見えた!
では部下は動かないという前提にたった時に何をするべきでしょうか?
皆様なら何をしますか?
・・・・・・・
非常に悩ましいですね。
私が数多くの企業を訪問して部下を動かす達人にヒアリングをして参りましたので、
その話をさせていただきます。
部下を動かす達人は人を動かすことに悩んだりしていなくて、一般的に言われている
リーダーシップも実践していませんでした。
むしろ「リーダーシップ苦手なんです」とおっしゃる方が多かったです。それでも部下は
動いているのでとても不思議な感じがしました。
何とかやっていることやコツを聞き出そうとヒアリングしましたが、
よく見えてこなかったので、部下や上司の人にも併せてお話をお聞きしました。
そこである一つのキーワードが出てきました。
それが「あの人すごく人望があるんです」というキーワードでした。
部下の方は「あの人のためなら」とか「あの人に迷惑をかけてはいけない」などのことを
沢山おっしゃっていました。
その話を聞いて、私はそれまで理解していた「部下を動かすという知識」は間違えている
と思った次第です。
どういうことかと言うと、部下を動かすために重要なのはリーダーシップや部下を動かす
ための手段を中心に捉えていたのです。
しかし、実際は管理職や経営者に人望があることが部下を動かす本質だと分かったのです。
したがって、私が学ばなくてはいけないのは「部下をどう動かすか」ではなく、「人望を
どのように高めるか」だったのです。
ただ、人望というものは書籍もあまりなく、人に聞いても雲を掴むような話しが
多く理解に苦しみました。
そこで私は人に頼らず自分で数年をかけて人望について紐解いてみました。
人望を構成する5つの土台
人望と聞くと何か神格化したイメージがありますが、人望を広辞苑で調べると、
「尊敬・信頼または期待のこころ」と書かれています。
このイメージに非常に近いのが先程ご紹介した部下を動かす達人です。そこで部下を動かす
達人の方々に再度お時間をいただき「何を意識して部下と接しているか?」ということを
聞き回りました。
様々な話が出てきましたが、共通的な要素をご紹介します。
弊社では少し整理統合して「人望の樹」と名付けております。
まずは、樹は根っこが一番大事です。根っこには儒教の五常という思考・信仰の体系で
整理しています。五常とは「仁義礼智信」という五つの徳のことです。
お話ししていくと非常に長い説明となるので詳細は省きますが、簡単に分かりやすく解説
すると以下のようになります。
● 仁:部下の悪口、陰口を言わない
● 義:正しいと思うことをやらない
● 礼:ありがとう・ごめんなさいを言わない
● 智:先を見誤まらない
● 信:嘘をつかない
この中で部下を動かす達人の一番多い意見は「”ごめんなさい”を言うようにしています」という人が
多かったです。これは意識していないとできないと仰ってました。
たしかに、年齢や役職が高くなればなるほど言いづらいことだと思いました。
自分で失敗や不手際などがあればすぐに謝ることを徹底しているようです。
叱ることで人望が大きくなる!?
次に人望の樹の枝をご紹介致します。枝は大きく2つに分かれます。
一つは「個人力」です。
具体的には「プレイヤーとして、知識がある、スキルが高い、成果を出している」という
ことです。
ここは管理職や経営者の方ならすでに身についている内容かと思います。
もう一つは「上司力」で、具体的には3つです。
① 部下との人間関係構築
② 部下の適切な評価
③ 部下の育成
特に適切な評価に関して、「部下を叱る」ということを実践されている方が多かったです。
部下を動かす達人の方々がよく口にするのが、「私は部下から好かれてはないです」という発言でした。
私は話を聴いていて、好かれると尊敬ということが大きく違うということを認識しました。
とにかくダメなものは徹底的にダメと叱るそうです。
これに関して参考になった本があったのでご紹介致します。
後藤清一氏という松下幸之助(パナソニック創業者)と井植歳男(三洋電機創業者)の二大経営者に
仕えた方の本です。三洋電機株式会社の代表取締役副社長でもあった後藤清一氏は著書の
「叱り叱られ記」という本の中で、以下のことを書かれております。
「できるだけやります」-“これほど人を侮蔑したことばはない。
初めから逃げ道をつくっての返答。私のもっとも嫌うところである。”
私は非常に共感し、発する言葉に考え方のダメな所を見つけては、
厳しく指導をしていたのではないかと感じる書籍でした。
ちなみに、この本を私が手にしたのは10年ほど前のことで、現在は絶版となっています。
人望を支える6つの姿勢
最後に人望の樹の幹についてご紹介致します。
幹は6つのことで構成されています。
① 変化対応
② 原因自分主義
③ 知行合一
④ プラス思考
⑤ 素直
⑥ 学び好き
ここで聞き慣れないのが「知行合一」ではないでしょうか。
意味は「知ることと行うこととは別のことではなく、真の知識は実践を伴うこと」です。
知っていいものは実践するという姿勢です。
部下を動かす達人の方々は素直さは非常に大切だが実践がすごく難しいと仰っていました。
これは相当意識しないとできないという方が多く、振り返るとできてないことが多々ある
そうです。その際は真摯に受け止め反省しているそうです。
以前、素直さについて時間をかけて勉強をしたことがありました。そこで非常に参考に
なった本があるので、ご紹介致します。経営の神様と呼ばれる松下幸之助氏の「素直な
心になるために」という本です。その中で以下の言葉を述べております。
“素直な心になりたいということをまず念願し、それを朝夕、心に思い浮かべるのです。”
(中略)“反省することが大切だと思います。自分で自分をもう一度ふり返ってみて、
はたしてかたよったものの見方をしていなかったかどうか、とらわれた態度がなかったか
どうかを、よく反省をすることが大切なのです。“
この素直さは非常に難しい話ですが、意識を常に持ち、振り返りをし、反省するということ
が重要ではないかと思います。
以上が人望を司る構成要素をまとめたものになります。
部下が動かない理由は沢山あるかと思いますが、相手を変えるのは難しいので自分が変われ
とよく言われます。
経営者・管理職の皆様が人望を高めることから始めるのも一つの手かと思いますので、
よろしければ参考にしていただければと思います。
弊社では「部下を動かすためのリーダーシップ」というセミナーを開催し、
上記のご説明をしておりますので、ご都合がよろしければ是非単発受講も可能ですので
弊社まで問い合わせください。
弊社人材育成プロジェクトでは、管理職向けセミナーを複数ご用意しています。
また興味のある方については弊社セミナーの体験会も実施しておりますので
お気軽に問い合わせください。