管理職の責務とは!?
経営者に多くの経営課題を聞く中で、「管理職の育っていない」という
お悩みをよく聞きます。
具体的にお聞きすると、「管理職自身がプレーヤーになっている」
「部下を育てられない」「部下とコミュニケーションがとれていない」
「部下をやる気にできない」などの問題点を挙げられます。
経営者の多くの方がおっしゃるように、この問題点を解消していかなければ
組織が上手く運営されていかないでしょう。
ただし、一旦立ち止まって考えてみると、「管理職の一番大事な責務」は
何でしょうか?
マネジメントの父と呼ばれるP.F.ドラッカーは著書の中で、
「組織の成果に責任を持つ者」であると定義しています。
私も経営者の方と意見交換すると、「成果をあげてほしい」と
おっしゃられる方が大半を占めます。
業界や業務・会社などによって成果の定義は異なりますが、
まずは成果を明確にする必要があるのではないでしょうか!?
[出すべき成果の例]
◆ 営業部門・・・売上、シェア、チャネル開拓、など
◆ 技術部門・・・コスト、品質、納期遵守 など
◆ 開発部門・・・新商品開発、新商品売上、など
◆ 調達部門・・・コスト、納期遵守、調達先開拓 など
◆ 人事部門・・・社員の能力、採用、定着率 など
◆ 経理部門・・・適時の情報提供、処理コスト など
成果を出す2つの方法
では、成果を出すやり方はどのような方法が考えられるでしょうか?
大きく分けると2つの方法があります。
① 管理職自身の力で成果を出す
② 組織として全員で成果を出す
①から具体的に見ていきましょう。
「管理職自身の力で成果を出す」とは、管理職が現場の最前線に出て、
自らの能力を十二分に発揮し、成果を生み出していくやり方です。
この時、部下は何をするのでしょうか?
私がお伺いしたある商社でこのようなことがありました。
営業部長は非常に優秀で、提案力や対人折衝力がずば抜けて高い方でした。
その営業部長は部下へアポイントを取らせ、持参する資料を準備させていました。
商談には同行し、営業部長が話しをして商談を進めていました。
結果は見事受注することができました。
さすが、営業部長です。
その後、細かい契約の諸手続きなどは部下にやらせ、営業部長は次の商談へと向かって
行ったのです。
この話しをまとめると図のようになります。
この商社の営業部長も成果をあげるという意味では立派に目的を
果たしていらっしゃいました。
「管理職の一番大事な責務」を完遂しています。
では、この営業部長のやり方で何年続けられるでしょうか
勿論、10年も20年も続けられる方はいらっしゃるでしょう。
ただし、私が見てきた多くの企業では、このような120%、130%の力を
出し切った状態で長く続けられる方は少ないように感じます。
成果が出る年、出ない年をいったりきたりしながら進んでいるというのが実態です。
しかし、経営者の方が管理職の方に求めることは、
「今年も成果を出してくれ」
「来年も成果を出してくれ」
「再来年も成果をだしてくれ」
「うちの会社の管理職である以上は成果を出し続けてくれ」ということです。
であるならば、今一度「そのやり方は長く続くのか?」を考えなければなりません。
キーワードは継続性です。
マネジメントの正体
ここまでお伝えしてきた方法で長く続かないという場合には、
②の「組織として全員で成果を出す」という方法をとってはいかがでしょうか!?
この方法は部下を育成し、やる気を維持/向上させ、部下自身が成果を上げられる
ようにしていくというやり方です。
では「組織として全員で成果を出す」という方法には何が必要でしょうか?
まとめると図のようになります。
① 部下のやる気の維持/向上
② 部下の能力開発
③ 部門のPDCAサイクルを回す
④ 部門内での適材適所
⑤ 部門の一体感の醸成
この5つをやっていくことが管理職の方の仕事であり、マネジメントです。
上手く5つのことを満たしたあかつきには、継続的な成果が待っていることでしょう。
今回の話をまとめると、
管理職の一番大事な責務は”部門の成果を出す”ことです。
したがって、各部門での成果を明確にしていく必要があります。
明確にされた成果を達成するためには2つの方法があり、
1つは「管理職自身の力で成果を出す」です。
2つめは「組織として全員で成果を出す」です。
どちらの方法をとっていくかは継続性で分かれていくということになります。
管理職のマネジメントで悩まれている方は、
今回の話を自社の組織改編・管理職育成にお役立てください。