会社の仕組み・施策は誰が、いつ 、「やめる」と決めるのか?
ある経営者と「無駄な仕事」について意見交換をしたので
今回はこのテーマで書きたいと思います。
最近は、”業務効率化”の話が増えてきました。
働き方改革の一環で残業の削減を目的として様々な施策を聞く機会が増えました。
更に追い打ちをかけるかのように大企業が残業削減で今まで社内でやっていた仕事を
中堅・中小企業に発注してきて、とても忙しくなっているという話も聞きます。
私のお客様でも仕事の発注がたくさんあり、断られている状態です。
生産性向上は今や経営の第一優先課題になっています。
そのような状況なので、社長からは他社がどんな取り組みをしているか?
多く質問をいただきます。
色々と話をしていると「うちの社員は無駄な仕事をたくさんしている」
という意見を多くの経営者が口にします。
「どんな仕事ですか?」と聞くと「無駄な会議・資料作成や社内調整などが多い」等の意見が多くあります。
そんな中、とある社長から「本当に無駄な仕事があるのか?を確認してほしい」と
言われて、現場でヒアリングを行いました。
依頼頂いた会社は機械商社です。売上80億、社員数は50名ほどの会社です。
拠点が6拠点あり、各拠点の責任者と営業社員・営業事務の方から話を聞きました。
ある拠点での話です。
加 賀「社長から、無駄な仕事がないか?確認してくれと話がありまして・・」
責任者「はい、聴いています。事前に社内でも無駄だと思う作業がないか?を
洗い出しました。」
加 賀「ありがとうございます。ちなみにどういった作業がありましたか?」
責任者「共通的には会議ですかね。うちの会社は拠点が多いこともあり会議が多いです。」
加 賀「どんな会議ですか?」
責任者「まず、拠点責任者が参加する経営会議が月1回で1日、
各拠点のリーダークラス以上で集まるリーダー会議が月1回で1日、
拠点内の営業マンが参加する営業会議が週1回、2時間です。更に社内で
コミュニケーションを増やすための施策の月次の会議が3つほどあります」
加 賀「それぞれ目的はあるんですか?」
責任者「ありますが、曖昧なものもあります。例えばリーダー会議は当初、社長から
リーダークラスの横のつながりが弱いから、情報共有と研修目的で会議をやる
と言ってスタートしました。現在は、毎回何をやるか?直前まで決まってなくて
目的が不明確になっています。」
営業事務「会議の度に、会議室の予約や連絡、資料の準備や設営など、
結構な時間を取られています。」
営 業 「個人的な意見ですが、営業会議も報告中心であまり機能してないようにも
感じます。発言する人も偏っています・・・」
加 賀「なるほど、では会議はやめたらどうですか?」
責任者「・・・いや、やめたほうがいいとは思いますが、私の一存では、決められない
です。」
加 賀「では、誰が決めるんですかね?」
この会社は上記以外にも年度方針でたくさんの施策が出てきて、やることが年々増えると
責任者は言っていました。
例えば、誰が見ているか?わからない社内用のデータの集計や昔からやっている拠点間の
情報共有のための仕組みがありました。
意味があるのか?疑問に持ちつつもやり続けているようです。
この会社がレアケースであるか?というとそんなことはないように思います。
事実、多くの会社でやめるタイミングや見直すタイミングを作っていなく、
無駄な取り組みが残り続けています。
経営者はやることを考えるのが得意な人が多いです。
毎年のように新しい取り組みや仕組みを作り、導入します。
一方で経営者がこの取り組みをやめます。という話をほとんど聞いたことがありません。
こんなことを書くと「現場で判断してやめればいいじゃないか」とおっしゃられる方もいますが、上記のように誰がやめると決めるのか?曖昧なので継続していることがあります。
今回の会社でもそうですが、弊社が業務効率化をどのように提案しているか?について解説したいと思います。
まず、経営者には、施策を考える時は「ひとつ増やしたら、一つやめる」ことを
心がけて頂きます。
例えばキックオフ(全社員向けの方針発表会)の場で「前年からスタートした〇〇という
施策はやめます」というようにやめることを発表してもらいます。
そうすることにより、関連する作業はやめていいと現場は判断できます。
そして社員は毎年のキックオフ(全社員向けの方針発表会)で各部署に分かれて
”捨てミー”(仕事を捨てるミーティング)を実施します。
特にキックオフにこだわっているわけではありません。
ただ、全社員で集まる時にやったほうが効的です。
それではやり方ですが簡単です。以下のような流れになります(図1)
(図1:捨てるミーティング流れ)
全体の流れの時間は1~2時間です。まずは仕事の洗い出しからスタートします。
参考までに洗い出しをした資料を図2に示します。
まずは個人でシートを記入します。
次に部門ごとの集まり、記入した内容を共有して捨ててもデメリット・リスクが無いか?を意見交換して終了です。
やるとわかりますが、捨てられる仕事があることに気づきます。
(図2仕事洗い出しシート)
そして、部門長は部門長同士で集まり、部門間の仕事を捨てられないか?を
検討してもらいます。
”捨てミー”で質問が必ず出てくるのが捨てる際の基準です。
参考までに他社事例を図3に示します。
(図3捨てる基準(他社事例))
そして、終了したら、各部署から捨てる仕事を発表してもらい、捨てられる仕事が
増えたらパチパチ(皆の前で称賛)します。
たった、2時間でかなり減量ができます。
部署ごとで意見交換している時に社長はチームをぐるぐるしながら、
「悩んだら社長に聞いてください」と言っておくと更に効果が高いです。
昔、業務改善コンサルチームの先輩から「パーキンソンの法則」という言葉を
教えてもらいました。
簡単に言うと2つの法則がありまして、第1法則は「仕事の量は、完成のために
与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」ということ、
第2法則は「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」ということです。
この法則と企業の実態を照らし合わせると、
①仕事の量は、与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
②社員は、お互いに仕事をつくり合う
③スタッフの数は、仕事量とは関係なく増加する。
ということが分かりました。
「人が足りない」「時間がない」「忙しい」はどの会社でもあるキーワードです。
なかなか解決できない問題ですが、まずは年一回の断捨離をしてみてはいかがでしょうか?