目次
1.感情を出せない人間が出世する理由
2.本音を殺してでも演じる者だけが、上に立てる
3.上司は「人格者」でなければならないのか
4.評価される人間と、信頼される人間の違い
5.演じ切る力こそ、現代のリーダーシップ
6.「素直さ」だけでは、組織は動かない
1. 感情を出せない人間が出世する理由
感情を出さない人間が、組織の上に立つ。
これは多くの現場で繰り返されている現実だ。
言いたいことを飲み込み、
笑顔で応対し、
部下を立て、
上司の期待に応える。
本音ではどう思っていようが関係ない。
見えているのは、振る舞いだけだからだ。
2. 本音を殺してでも演じる者だけが、上に立てる
ある日、一緒に仕事をしたリーダーが、大手企業の社長になった。
彼は仕事では冷静で、部下からの信頼も厚かった。
だが、最後の打ち上げで見せたのは、まったく別の顔だった。
部下を育てているわけではない。
能力が低いから、仕方なく時間を割いている。
むしろ、やりたくない。
そう語る彼の姿には、恐怖すら感じた。
だが、彼は結果を出していた。
周囲からも好かれていた。
つまり、「人のためにやっているように見える」ことができれば、
その内側がどうであろうと、出世には影響しないということだ。
3. 上司は「人格者」でなければならないのか
上司には、人間的な誠実さや温かさが求められる。
そう信じていた。だが、現実は違った。
必要なのは、崩れないことだ。
内側で何を思っていようが、関係ない。
期待通りに振る舞い、結果を出す。
それだけで評価はついてくる。
むしろ、「人間らしさ」は時にリスクになる。
感情の波が大きい人間は、組織の上に立てない。
4. 評価される人間と、信頼される人間の違い
人は、“演じる”人間を「信頼できる」と錯覚する。
本音を晒すよりも、役割に徹する方が、信頼を得やすい。
裏表がある、という批判は意味をなさない。
上司がやるべきことは、「感情の正直さ」ではなく、
「役割を果たし続ける強さ」だ。
矛盾を抱えたまま、それでも平然と立ち続ける力。
それが、評価を引き寄せる。
5. 演じ切る力こそ、現代のリーダーシップ
誰もが「自分らしく」あろうとする時代。
だが、リーダーに必要なのは“自分らしさ”ではない。
求められるのは、期待される役を演じ切る力だ。
それができない者は、組織を動かせない。
裏で苛立っていてもいい。
納得していなくてもいい。
ただ、「信頼される姿」を崩さなければ、それでいい。
6. 「素直さ」だけでは、組織は動かない
「本音で語れ」「素直であれ」
そうした美徳が、すべての現場で機能するわけではない。
むしろ、上に行く人ほど、
本音と建前を徹底的に使い分けている。
そして、それを気取らせない。
結果を出す人間には理由がある。
その多くは、“素直ではない”という現実に支えられている。
終わりに
出世に必要なのは、
誠実さでも、情熱でもない。
演じ切る力である。
そしてそれは、「腹黒さ」とは呼ばれない。
それは、現代の「大人のプロフェッショナリズム」である。