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売上不振から脱却するための解決策は間違っている(後編)

▶売上不振の8つの原因

前編では売上不振の8つの原因をご紹介しました。

1 事業・商品のライフサイクルの問題
2 事業・商品の捨てる、活かすの問題
3 セールスターゲットの問題
4 他社との違いの問題
5 引合/集客の問題
6 営業/販売の問題
7 顧客ロイヤリティーの問題
8 従業員のやる気の問題

前編で1・2の内容はお伝えしたので、今回は3から順に解説していきたいと思います。

▶ターゲットがズレるのは不可避!?

3「セールスターゲットの問題」はよくある事象で、
セールスターゲットがズレているということです。
具体的には以下のとおりです。

● 提案する相手が違う(意思決定者では無い)
● 昔は買ってもらっていたがお客様の志向や興味が変わってきた
● 見込みちがい(買う気が無いのに、話は聞いてくれる)

代表的な例を3つご紹介しましたが、要するに買わないお客様にいき続けているという
状態です。

これは営業マン/販売員が気づいていないことが多く、癖が悪いです。
対策は様々ありますが、膨大な内容となってしまうので、今回は割愛させていただきます。

▶他社との違いは簡単に作れる!

次に4「他社との違いの問題」について。
お客様から「他社との違いは何ですか?」と聞かれた場合、答えられるでしょうか!?
経営者の方に聞くと答えが返ってくることが多いですが、
問題は現場の社員が答えられないということがあります。

現場の社員はお客様から様々な情報を得ており、
自社に他社との違いはないと勘違いしていることが多く見受けられます。

社員に「自社商品/サービスの他社との違い」について聞いてみてはいかがでしょうか。

「いやいや、実は違いがないんだよね・・・」という経営者の方は、
私が提案している2つのことをご紹介するので参考にしてください。

1つ目は、「最近購入しているお客様に違いを聞いてみたらどうでしょうか?」と
提案しています。

大抵の場合、お客様は購入時に様々なものを比較して購入しています。

したがって、お客様の方が他社製品/サービスのことを
より詳しく知っている可能性があります。

2つ目は、「自社で違いを作ってください」と言っています。

「違いが作れないから困ってるんだよ!」とおっしゃる経営者の方もいるかもしれませんが、
ここでは作る内容を変えます。

製品/サービスそのものの”違い”を作るのではなく、「買う理由」を作るのです。

買う理由とは、例えば「当社で一番売れている商品」「店長オススメ商品です」などで構いません。

買う側は購入する際に必ず買う理由を探します。

他社との違いや強み・特徴なども結局全て買う理由付けなのです。

この買う理由をホームページや商品パンフレットに記載すると、
現場の営業マンや販売員がしっかりと説明でき、お客様は選びやすくなります。

例えば、ある会社では「自治体の4割がこの商品を導入しています」
「圧倒的な1番人気商品!」、「上場企業も多数利用」、「30代の奥様に大変人気」
などの文言をお客様に訴求し、買う理由を与えています。

「なぜかわからないですが行列を見たら人気なのだと感じて並んでしまう」
という心理と同じですね。

皆様も人生の中で一度は理由が曖昧ですが
一番売れている・店長オススメの製品やサービスを
買った経験はありませんか?・・・これが答えです。

注意点はパンフレットやホームページには掲載しているが、
現場の営業マン/販売員が買う理由を知らないということです。

お客様から理由を聞かれた場合に、しっかりと返答できるようにしておきましょう。

そして、次に5「引合/集客の問題」です。

これは分かりやすい話ですが、引合/集客の数が少ないということです。
ここは判断に迷うことも少ないと思います。
対策も各企業で日常的にお考えだと思いますので、これで終わりに致します。

▶トップセールスマンは売れている理由を知らない!

続いては6「営業/販売の問題」です。

これは提案の仕方や接客の仕方が問題であるということです。

個人によって売上のばらつきが大きい時は詳細なやり方を確認した方がよいかもしれません。

この問題の対策でよくやられていることが、
売上を上げている人にコツを聞くという仕組み作りです。

コツの共有は一生懸命取り組んでいる会社が多いですが、
実は上手くいってる会社がほとんどありません。

なぜでしょうか?・・・理由は2つあります。

1つ目は売れている方があまりコツを共有したくないと思っているのです。

それはそうですよね・・・コツを共有すればするほど、トップの座を脅かします。

これはもう説得しか無いですね・・・経営者が直接話しをして、想いをぶつけるしかないです。

もう1つの理由は、「売れている本人も実は分かっていない」からです。

私のコンサルティング事例を用いて、何でこれがわかったか?という話しご紹介致します。

30店舗ほど展開している美容室からトップスタイリストと普通の人との違いを
見つけて欲しいと依頼がありました。

私が担当する以前から「トップスタイリストのコツを共有する会」を実施していましたが、
上手く成果に繋がらないとのことでした。

そこでトップスタイリストにインタビューをしました。

内容は仕事の流れ毎に「心掛けていること」「セールストーク」などを
全部細かく具体的に聞き出していき、紙にまとめました。

美容室では、まずお客様とお話をしながらどのようにするかを決める
「カウンセリング」ということが行われます。

その後「施術」というカットやパーマ、カラーなどを実施していきます。

施術もいくつかのパートがあり、それぞれのパートごとに
「心掛けていること」「セールストーク」などを聞き出していきました。

▶売れる理由は課題解決型だった

そこで面白いなと感じたのが、お客様とのカウンセリング時に、
「今日どうしますか?」を聞かないというキーワードでした。
理由を聞くと「聞くと提案ができない」との回答でした。

私は直感的に「これだ!」と思いました。

ただ、本人は「いや、これみんなやっていると思います。」と仰っていました。

店長会議でこの内容を共有したんですが、
その時に店長含めて参加者全員が知らなかったんです。

トップスタイリストは全員やっていると誤解していたので、
コツの共有では話をしなかったそうです。
このようなことを何度も経験しましたが、同様の結果が続いたので、
私は売れている人も売れている理由は理解できてないという結論に至りました。

コツの共有は本人が適当にこれじゃないか?と選択して話しをしているので
参考にはなるが成果に繋がらないことが多いということです。

よろしければ自社でも実施してみてください。

更に売れている人と売れてない人の違いは何か?

これは実はすごく簡単なんです。
このインタビューを500人ほどに実施して感じたのは、
どの会社でも「心掛けている」ことの量が全然違うということです。

これが売れるか売れないかの違いになります。
人間は心掛けていても全てを行動には移しません。

ただ、心掛けていないとそもそも行動になりません。

売れてない人が売れるためにやることは、
この心掛けを増やすことからスタートするということです。

話しを戻して、7の「顧客ロイヤリティーの問題」を見ていきましょう。
顧客ロイヤリティーはお客様の忠誠心と言われます。

リピート性のある製品/サービスを提供している会社では非常に重要となる話です。

何となく「お客様のリピートが減ったなー」と思って連絡すると
競合商品を買っているなんてことが往往にしてあります。

こうなっては手遅れです。まずはリピート率をしっかりと把握し、
危険を察知することが懸命です。

▶CS(お客様満足)向上の先にリピートはない?

以前コンサルティングで「CS(お客様満足)が高いとリピートや紹介は増えるのか?」という
CSとリピート購入の相関を分析したことがあります。

結論から言うとそこには相関ありませんでした。

正確に言うと「必要条件ではあるが、十分条件ではない」ということです。

当時の分析結果では、リピートや紹介などが起こるのは、
こちらからお客様にアクションを起こした時でした。

ただし、その時に大事になるのが顧客ロイヤリティーで、これをしっかりと
醸成しているお客様は必ずこちらのアクションに反応してくれます。
顧客ロイヤリティーがあるお客様に手紙やDM・お知らせメールなどでアクションを起こすと良いでしょう。

紹介はシンプルに「紹介してください」と言ってみてください。

これだけで紹介をもらえるケースは沢山ありました。

最後に、8「従業員のやる気の問題」についてです。
やる気は見えないですが非常に重要な要因と言えます。

感覚的ではありますが皆様はやる気が下がっているか否かは分かるのではないでしょうか!?

気づいたらなるべく早く対応していくことが肝要です。

やる気は壮大な内容なので、今回は一つだけに的を絞ってお伝えしたいと思います。

やる気の高い人が多い組織は「会話の量」によって分かります。

とにかく会話の量が多い組織はやる気の高い人が多いです。

組織の中で会話の量が多いということは、ある程度それぞれの人間関係ができているということです。

したがって、人間関係のイザコザによって大きくやる気が阻害されるということがないのです。

しかし、これを仲間でありライバル関係の営業組織の中でやっていくのは大変なのです。

また、製造と販売という部門最適思考が蔓延している中で人間関係を作っていくことも
同様に至難の技です。

これが故に、各企業ではイベントやプロジェクト・会議など
多くの仕組みを取り入れ、会話をするきっかけを作り出しています。

ポイントは「会話の量」なので、これが増える取り組みをされてはいかがでしょうか。

以上で今回の内容は終了となりますが、
記載スペースの問題もあり濃淡のある内容になったことをお許しいただければ幸いでございます。

前編・後編の2回にわけて売上不振の原因について解説してきましたが、
間違った問いに一所懸命に答えないよう、まずは正しく問題を発見していただければと思います。

対策や原因の詳細について、詳しく話しを聞きたいという
お客様は営業担当か弊社までお問い合わせいただければ幸いでございます。

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