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「不在率50.9%」の改善を、素直に喜べない理由 

「不在率50.9%」の改善を、素直に喜べない理由 

 東北の後継者不在率、6年連続で改善。でも本当に喜んでいいのか。
 

「後継者不在率が50.9%に改善した」 

帝国データバンクの調査で、そんな数字が出た。 

後継者不在率、秋田が全国唯一の70%台 東北は50.9%で改善
https://www.asahi.com/articles/ASV2N444HV2NUNHB00DM.html

6年連続の改善。 

確かに、いい方向には向かっている。 

だが現場を知る者として、少し立ち止まって考えてほしい。 

  

数字の裏に、何があるのか。 

改善の背景には 

官民の相談窓口の普及 

支援メニューの拡大 

地銀による事業承継特化の取り組み 

そうした外部環境の整備がある。 

つまり「社会が動いた」から数字が改善した。 

経営者が自ら動いたかどうかは、また別の話である。 

  

第一に見るべきこと。 

規模が小さいほど、問題は深刻だ。 

大企業の後継者不在率は29.7%。 

小規模企業は55.8%。 

この差は何を意味するか。 

大企業には人材がいる。 

仕組みがある。 

時間をかけて準備できる体力がある。 

しかし小規模企業には 

それがない場合がほとんどだ。 

だから待っていても 

誰かが解決してくれることはない。 

  

第二に見るべきこと。 

秋田の73.7%という数字を、他人事にしてはいけない。 

全国で最も高い不在率。 

2位の島根に9.5ポイントもの差をつけている。 

なぜこうなるのか。 

TDBの担当者はこう指摘している。 

「同族経営の企業が多く、
親族以外の第三者に経営権を譲ることへの
抵抗感が根強い」 

これは秋田だけの話ではない。 

地方の中小企業に共通する、深層心理である。 

  

第三に見るべきこと。 

「内部昇格」が「同族承継」を上回り始めた。 

2025年に代表者が交代した企業のうち 

内部昇格が32.4% 

同族承継が35.6% 

数字としてはまだ同族が上だ。 

しかしトレンドは変わっている。 

「社長は親族がなるもの」 

その常識が、静かに崩れ始めている。 

これは経営の話である。 

血縁ではなく、能力と準備で承継される時代が来ている。 

  

改善は喜ばしい。 

だが数字が改善しても 

廃業した会社は戻らない。 

消えた雇用は戻らない。 

地域に根ざした技術や文化も、戻らない。 

  

ひとつだけ確かなことがある。 

「いつかやろう」では間に合わない。 

黒字の今、人材がいる今、 

それが準備を始める唯一のタイミングである。 

  

後継者不在率50.9%。 

まだ半分以上の会社が、未来を決めていない。 

その一社一社に、 

歴史があり、社員がいて、地域がある。 

数字が改善しても、経営者が動かなければ何も変わらない。 

 

writing:ストロングポイント株式会社 代表取締役 加賀隼人 

 

 

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