“問題が希少化”した時代に、どのように事業や商品を創り出すのか?
◆ 世の中の問題は明らかに減っている
まずは、問題が希少化していることについては
肌感覚でわかる通り、現在は、「解決策が多くあり、問題が少ない」時代になっています。
というのも、様々な企業がたくさんの製品・商品・サービスを提供していることで
日常生活に不満や問題がない時代になりました。
よって、多くの企業はお客様の困りごとをなかなか探し出せずにいます。
営業マン:「現在利用されていて、何か、悩みや
不満はありますか?」と聞いても、
お客様:「ん・・・特にないよ」返ってくるのが
ほとんどだと思います。
皆さんも「生活されていて、不満や悩みがありますか?」と問われると
すぐに返答できる人は少ないと思います。
既に満たされた状態にあり、探し出すほうが
困難な時代になっています。
よって、スキルとしては、
「問題解決力より問題発見力」が重要視されます。
一昔前は問題がたくさんあり、解決策が少なかったので問題解決力強化が命題でした。
一方で現在は解決策が多くあり、問題が少ないので問題発見力の方が必要とされるようになってきました。
問題が少なくなってきたということは相対的に新しい事業や商品が生まれにくくなっているとも言えます。
新しい事業や商品を作るために必要な情報がないので、多くの企業で苦戦しています。
ユーザーアンケートやインタビューをしても不満がないので何も出てきません。
出てきても事業や商品開発に活きるような情報の質ではありません。
こうなってくるとほとんどの企業で意味のない機能追加や望まれてない精度向上が図られるばかりで、正しい姿の開発ができてないのです。
最近、伸びている事業や商品の傾向を見ると問題解決もありますが、
問題解決に役に立ってないけど存在している製品・商品・サービスがあります。
例えばSNSは問題解決というよりは、承認要求や自己実現欲求を満たしているような気がします。ゲームも同様かと思います。
直接的に何かの問題解決をしているか?と考えると少し遠いように感じ、
不満の解消ではなく、満足度・幸福度を高める目的の方が強いように思います。
例えば、最近伸びているのがアウトドア業界です。
キャンプ用品で有名なスノーピークも業績を伸ばしています。
細かい話で少し高級な食品やお菓子やアイスなんかもよく見るようになりました。
このような流れを受けて、では今後どのような事業開発や商品開発を
進めるべきか?について、
筆者としては、一つの方向性に「デザイン経営」が主流に
なるのではないか?と考えています。
◆問題発見力の強化はデザイン経営の実践で解決できる?!
先ほど、問題解決力ではなく問題発見力が求められている。
と述べましたが問題発見が上手な会社のほとんどが「デザイン経営」を主張しています。
例えば、有名なのがアップル、ダイソン、良品計画、マツダなどがそれに当たります。
まず一般的な「デザイン」を辞書で引くと設計。図案。意匠。
製品の機能や美的造形を考慮した意匠計画。という表現です。
上記企業は美的造形に優れているとは思いますが、それだけではなく、
“潜在的な問題を発見”をしてデザインによって解決しているように感じます。
最近、よく聞くようになってきた「デザイン経営」は「デザイン経営」宣言として、
経済産業省と特許庁が研究会を作り資料をまとめています。
興味があればご覧ください。(下記クリックで詳細が見れます。)
その中でデザイン経営とは
「デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営である。」
民間企業も巻き込んで作っているのに、言葉が抽象的すぎてよく分かりません。。
ただ、資料の中で私が惹かれたのは“コスパ”がいいというところです。
具体的には技術力を使って機能の差別化をするのに大変な投資を必要とします。
給与の高いエンジニアを雇い入れ、最先端のテクノロジーを用いて、
機能を磨き上げて勝負する。相当な投資が容易に想像できます。
しかし、先ほど挙げた企業もそうだと思いますが、技術力で勝負しているわけではなく、
デザインで優位性を作ってだけなので相対的にはコスパがいいというわけです。
中堅・中小企業が大企業と勝負するには、“コスパ”がいい投資をしていくことが
必要だと思います。よってデザイン経営をおススメしています。
ちなみに筆者の「デザイン経営」の定義は、
「顧客体験の質の向上(利用者視点)」と考えています。
製品・商品・サービスの美的造形も含めて、体験の質を
どう向上させていくのか?を考えて、事業や商品を作りこんでいくことが
「デザイン経営」だと思っています。
これを体現している企業があるのでご紹介します。
このデザイン経営と最近時流のDtoCで伸びています。
アメリカのPELOTON(ペロトン)という会社です。
ちなみにDtoCは「Direct to Consumer」の略で、メーカーが、
商品を仲介業者や店頭に商品を出すことなく、
ECサイトを構築し、直接ユーザーに販売するビジネスモデルのことを指します。
このPELOTONのサービスは一言でいうと
「自宅でのエクササイズの質を向上するような」サービスです。
ビジネスモデルは通常フィットネスクラブ等に置かれる
エアロバイクを自社開発し(美的造形もカッコいい)、個人ユーザーに直販する。
ただ、それだけではなくエアロバイクに大きなモニターがついていて
オンラインエクササイズができます。
オンライン上で数千人(会員)が繋がっていて、競争をし、
リアルタイムで順位を競い合いながら利用をします。
家で居ながら、誰かと一緒にできることで継続を促しています。
まさに今までの自宅エクササイズと違う「顧客体験の質を向上」している事例と言えます。そして、一人だと継続しないという問題発見をして解決していると言えます。
ちなみにエアロバイクが25万円。
月額4000円します。かなりの高額商品です。
2012年に創業して、30万人会員がいるそうです。
時価総額が5000億(2018年度)を超えてます。
この会社の凄い所は「エアロバイク」という
コモディティー商品をもっといい体験ができるように仕組みを作り、
ビジネスを設計しているところだと思います。
モノ売りで終わるのではなく、月額のストックビジネスを
生み出している所が面白いと感じました。
改めて“顧客体験の質をどのように向上させますか?”
皆様の社内でもご検討されてみてください。