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「新規事業は会議室で潰される」という話                  

▶いいサービスは共通的な要素がある

仕事柄、多くのサービスを目にする機会があります。
特にWEBサービスは地方企業に売り込みたいが「どのように展開すればいいか?よくわからない。」と相談があります。
WEBサービスを提供している経営者に会って話を聞いていると、売れているサービスと売れてないサービスの違いがよくわかってきました。

結論から言うと「そのサービスで解決できる課題が明確であるか?」ということに尽きます。
当たり前のように聞こえますが、実は解決できる課題を明確に答えられるサービスが多くないと感じます。

事業を立ち上げる際に、大きく2つの流れがあります。

①自社の技術やノウハウを使ってサービスを作ったもの
②課題からスタートして、課題を解決するために作ったもの

過去、①で事業を一緒に立ち上げてくれないか?と相談をされてコンサルティングを行った経験があります。
話を聞くと技術的には素晴らしく、業界初のような商品でありました。
ただ、用途開発ができてなくてそれを一緒に考えてくれないか?という話でした。
素晴らしい思想の経営者だったので、一生懸命に考えて行動しました。

ただ、結論は全く売れませんでした。
失敗プロジェクトです。
このやり方がすべて悪いとは思いませんが、中堅・中小企業にはマッチしていないと感じました。

一方で、②解決できる課題が明確なサービスを支援した時の話があります。
話ができる範囲でお伝えすると不動産鑑定という業界でした。

一般的には全く知らない業界だと思います。
業界では3・4番手の会社で、一緒にお客様の業界にある課題を解決するサービスを立ち上げました。
そして、あっという間に売れました。
市場規模がそんなに大きくは無いですが、リピート性が高いサービスなので毎月一定規模の売上が入ると喜んで頂けました。

課題解決型は商品・サービスを作るまでに時間がかかります。
「お客様の悩みを出してください」と言ってもなかなか出てきません。
ただ、売り始めると結構な速度で売れていきます。
中堅・中小・ベンチャー企業でそれなりに売れている製品・商品・サービスは「解決できる課題が明確であるサービス」が多いと思います。

▶課題解決型の面白いサービス

ここからは課題解決型の事業や商品・サービスについて、売れているものを中心に紹介したいと思います。

 ①ecbo cloak(エクボクローク)

一言でいうと「荷物を預ける場所を探してくれるサービス」です。
このサービスは「旅行者の荷物を預ける時の課題」を解決しています。
具体的にはコインロッカーにおける課題を解決しています。
コインロッカーの課題とは?

・場所が分からない(旅行先だと)
・コインロッカーが空いているか?行ってみないと分からない
・大きなスーツケースだと入らない

これをスマホとお店(飲食店・カラオケボックスなど)を使って解決しています。

具体的には、荷物を置いてもらえるお店と提携して、荷物を預けたい人(利用者)と荷物を預かってもらえるお店のマッチングをしています

更に素晴らしいのはお店側の集客の課題も解決をしているということです。
海外旅行客にはとても便利なサービスだと思います。
大きな荷物を持つ旅行客が増えてきて、今後もさらにサービスが成長していくと思います。

Bizer(バイザー)

一言でいうと「バックオフィスの悩みを解決してくれるサービス」です。
具体的には、このサービスは総務・労務・経理・法務・知財の専門家を束ねてどんな質問にも答えてくれるサービスです。
「これ誰に聞いたらわかるんだろう?」を解決してくれるサービスです。

個別で専門家と契約をしていると経験がある方もいるかもしれませんが、「それ私の専門ではないのでわかりません。」と言われて、たらいまわしにされるケースがあります。

Bizerは質問をすると質問内容に応じて専門家が勝手に答えをくれます。
しかもレスポンスがとにかく早く、さらに月額費用約3,000円という安さです。

安さのカラクリですが、実は専門家の集客という一面があります。
回答してくれた最後に必ず、「できなければいつもでやりますので依頼ください。」と
書いてあります。
専門家にとっては、BIzerでマーケティング活動が行えるメリットがあるので、レスポンスが良く、かつ丁寧に答えを提供しているのでです。

こちらも、①エクボクロークとビジネスモデルがほとんど同じマッチングビジネスです。

こう見るとわかる通り、マッチングビジネスは三方よし(ユーザー・提供者・サイト運営者)だと上手くいきます。

最近、今まで以上に事業開発の話が増えてきました。
業績がいい会社や世代交代で若い社長が新たな事業を立ち上げたいなどのニーズが増えています。

ただ、なかなか立ち上がらないのが実態です。
私の経験では最初の難所が経営会議になります。
ここで却下されることが圧倒的に多いです。

やってみないとわからないのに、やる前からリスクばかり見て進まないのはあまり意味がないとも感じます。
或いは「こんなの売れないよ」という話もよく出てきます。
これは主観的な話で議論の意味がありません。

よく新規事業は9割失敗すると言われますが、実際はそんなに低くありません。

岡山大学の調べでは・・・
”新事業開発は日本の主要企業を対象にした最近の調査でも重要な経営課題とされており,今後その重要性はますます高まると考えられている。
(中略)
しかし,われわれの調査では,その成功率は景気が好調であった90年度で37%,バブル崩壊以後の急激な失速を経験した95年度では28%にすぎない ”

つまり、新規事業は3割が成功すると言われています。
3・4本の新規事業を立ち上げて1本当たる。
これは私の感覚とほぼ同じです。

まずは、実行してみることが成功への一歩ではないか?と思います。
立ち上げてすぐに大きな売上を生み出せる新規事業は殆どありません。

多くのケースは3年から5年、場合によってはそれ以上掛かると思います。

「やってみなはれ!」私の好きな言葉のひとつです。
ドンドンチャレンジできる環境を会社としてどう作るか?

経営者の腕の見せ所かもしれません。

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