▶中途入社者を早期即戦力化するために
UIターンの中途入社者は、年齢的な部分も関係しているのですが、
周りに頼れない、周りから構ってもらえないという環境に置かれます。
それは「逆境」とも言えます。
UIターンに限らず中途入社者には「即戦力」というタグが貼られるためです。
そのため、「あの人、中途入社だからお手並み拝見だね。」となりやすいのです。
本人もその状況をヒシヒシと感じるので、業務の中で理解出来ないことがあっても、
なかなか他の職場メンバーに聞くことができないという状況がおこります。
これが「周りに頼れない」理由です。一方で、周囲の人々も中途入社者には助言がしにくい。一言で言うと、「気分を害するかもしれない。」こんな心理が生まれているためです。
これが、「周りから構ってもらえない」環境になっているケースがあります。
そして同時に本人は早く成果を上げたいというプレッシャーがかかってきます。
つまり、中途入社者は「高いプレッシャーを感じていて、かつ、周囲からのサポートも
少ない」という最悪の環境に置かれるのです。よって、早期で成果を出す成功確率が低くなっていると思います。
これを解決すべく“オンボーディング(※)はどうすべきか?”を試行錯誤してきました。
(※)オンボーディングとは、乗り物に乗っていることを意味する
「on-board」を由来とし、新しい仲間の順応を促進する取り組みを指す言葉です。
人事用語では、新しく会社・組織に加わった人材にいち早く職場に慣れてもらうことで、
組織への定着・戦力化を促進するための取り組みのことを指します。
▶オンボーディングの具体的な仕組み
他社でオンボーディングに成功している仕組みがあるので紹介したいと思います。
これをやり始めて、定着化と即戦力化に成功しました。やっていることは、以下です。
1on1=若手経営者と中途入社者が週に1回夕方1時間ほど面談を実施。
内容は、
・成果を上げるための相談・フィードバック
・現状の悩みやボトルネック
・経営者として出来ることは無いか?を中途入社者へ聞く
大変ですが、3ヶ月ほど1on1を継続すると多くの対象者において成果が出始めます。
更にチャレンジ中なのが、
中途入社者とベテラン社員が2名体制のチームとなり
ルールを教える、サポートするという”仕組み作り”
毎日ミーティングを実施し、リソースを共有して入社直後でも労働参加率を高める取り組みをしています。これで「ほったらかしや不安の解消」に役立っています。
▶オンボーディングのポイント
オンボーディングの本質は「期待値調整」であると考えています。
1on1は、その期待値調整に大いに役立っています。
組織内や周りからの期待値が勝手に上がっていくので本人と都度
「期待値調整」が必要です。必ず誤解が生じるためです。
特に大きくズレる点で言うと時間軸です。
業界にもよりますが、UIターンでの中途入社者は、半年で成果が出れば御の字だと考えます。さらにキャリアチェンジに近い人は1年ほどかかると考えていいと思います。
時間軸を半年から1年とみて採用をすれば、UIターンでの中途入社者も安心して環境に慣れる時間があり、全力を出せると思います。ここでは受け入れ側の経営者が全社員に「中途入社メンバーの成果について半年から1年はかかる」と伝えることが重要になってきます。
最後に簡単ではありますがオンボーディングにガイドラインがあるので紹介します。
Klein&Polin 2012という論文をもとに使えそうなところをピックアップしてみました。
<オンボーディングの一例>
・各種マニュアルの整備
・どこに何があるといった情報の案内
・過去事例や実務で使用する各種フォーマットの保管場所
・問い合わせ先のリスト など
<オンボーディングプロセスの一例>
・自己紹介シートの作成をお願いする
・既存社員を紹介しておく
・会社への理解を深めておくことをお願いする
∟経営理念ブックや企業案内の配布
∟ブログなどの発信情報、サービス導入事例など
・現場社員との交流機会を設ける(入社承諾から入社まで2カ月以上ある場合)
・入社前にアルバイトや業務委託として少しずつ関わってもらう
・入社後のオンボーディング/研修プログラムを事前に伝える
地方企業は、中途入社者に大きな期待と役割を与えます。
一方でその期待に応えようと中途入社者も頑張るのです。
しかし、上手く噛み合わず離職するケースが多いと感じます。
地方に優秀な人を呼ぶためには、受け入れ側の考え方を変える必要があると思います。
ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。